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2011年9月10日 心理・言語部会が開催されました

心理からは、のぞみ発達クリニックの小堀あゆみ氏より、インラインスケートへの取り組みについて報告がありました。のぞみ発達クリニックでは、障害のあるお子さん方のためのインラインスケート教室「こいわローラークラブ」で活動している梅沢恵子氏・北原利晃氏を月に一度招いて、通所児にインラインスケートの機会を提供しています。
知的障害児が余暇活動として行なうスポーツは、水泳・トランポリンなどが多いようですが、まだまだ種類は少なく参加できる場所も限られます。また障害が比較的重度の場合に、スポーツ施設への通所自体が困難なこともよくあります。インラインスケートは特に初心者であれば狭い場所でも個人的に行なうことができますし、前庭刺激や固有覚刺激を好むお子さんに適しており、新たな余暇スポーツとしての可能性を感じました。
また療育者側としては、いつもの療育的観点からだけでなく、インラインスケート自体の技術の向上という新しい視点で関われるメリットがあげられていました。
今回は心理職からの報告ですが、さらにPTやOTの視点を加えていくことで素晴らしい活動が期待できるのと思います。
またお話の中で、障害児の保護者である梅沢氏が、お子さんのために余暇活動を探しインラインスケートにたどり着いてから、指導者である北原氏と出会うまでの涙ぐましい努力の経過、そして北原氏のインラインスケートにかける熱い思いもお聞きし、最後の茶話会ではお菓子そっちのけで、みんなでインラインスケート体験を楽しみました。
言語の部ではのぞみ発達クリニック・STの中川円氏と、同じくPTの高橋昇子氏が、ある一人のお子さんに対する発達支援の中での、複数の職種による連携について報告されました。のぞみ発達クリニックで開発された「NC―プログラム」を用いたきめ細かい言語指導や、そこからさらに細かい分析を行い進めている運動指導について、専門的な話となりました。症例のお子さんのもつ障害についてはまだまだ症例数が少なく、臨床を積み重ねていく必要があること、ふだんの生活の中でうまく発揮できていない能力を引き出すためにどのように関わっていくべきか、などを考えさせられるお話でした。

2011年度全体会にてYG会を開催しました

JaTTS総会後の心理・言語YG会には、心理・言語・福祉職の計9名が参加し、日頃感じていることや悩み、今後の希望などを話し合いました。
 皆さんのお話に通じるテーマとして感じられたのは、基本的ですが心理・言語職には他の方々との連携の中で何ができるのか、何が役割として求められているのか、ということだったように思います。
保護者との連携に関しては、「障害のある子ども達への心理や言語の基本的な指導を今まで一生懸命してきたが、最近は保護者への対応が非常に大切だと思う。子育てに迷い悩む保護者に寄り添い、支えて「育て」ていく(エンパワメントですね!!)ことで、また子どもも育っていくと思う」「民間の療育施設には、保護者が方針に賛同して通ってくるが、必ずしも、こちらのやり方に合わせてもらうのが正しいわけでもない。絶対に正しい、というのはあまりないのがこの現場の楽しいところだ」等。他の職種との連携については、「言語・心理が療育の場で行ったことを、どのように返していくか。言語・心理の個別指導では、自分の理想の指導をマニアックに進めたくなるが、療育では毎日の積み重ねが大切であり、それにより予想以上の伸びを見せることもある。保育や教育はそれが可能な場だ。保育・教育での日常の取り組みを知らなければいけない」「他職種との連携の中で何か一つの課題に向き合ったときに、これだけが正解というよりは、いろいろな可能性・選択肢があることも多い」「通常の心理・言語指導では対応の難しい子どもがいる、音楽や運動的な要素などいろいろな物を取り入れたい」
等等。一人で自己満足に陥らずに、様々な視点を持ち支援をしていくことが今、求められている中で、それぞれの感じている課題があるようでした。
そのような意味では、木更津市の「のぞみ牧場学園」には、様々な職種の専門家がいて、日々の保育を保育者と音楽療法士、作業療法士や動物の専門家・心理・言語などの専門職が一緒に行っているという点で、とても理想的です。
「専門職同士で考え方の違いもあるため、子どもへの関わり方について悩む部分もある」という意見について、ベテランの福祉士からは、「お子さんの就職を見据え、18歳までに療育の中で何ができるのかという長い見通しをもって関わり方を考えていく必要がある」とコメントがありました。

 3月におきた東日本大震災での話ですが、心理士が被災者の話を聞くために、ピンクの目立つゼッケンを着けて避難所に入ったところ、「ピンクのゼッケンと話しているのは心の弱いやつだ」と被災者が陰口を言われる結果となり、ほとんど利用がなかった、しかし子どもの遊び場コーナーでは、親子で気軽に参加した人が、結果的に身の上話などをしていくこともあり、援助者側が考えた援助を、被災者の方々が本当に必要としているとは限らないのだと感じました。またJaTTS総会当日には、新聞にテリー伊藤が、「震災現地に行ったボランティアが、『被災者という人はいない。個々の思いに対する配慮と敬意が大切だ』と言っていた」と書いていました。
もちろん療育の中では個々の子どもに合わせた対応は当然のこととしてこれまでにも行われていますが、保護者(または本人)の療育への希望は個々に異なり、またそれぞれの職種の意見も異なるわけで、お互いに尊重しあい、広い視野をもって連携することが大切だと改めて感じました。

(臨床発達心理士:黒田)

テーマ : 福祉関連ニュース
ジャンル : 福祉・ボランティア

第一回PT・OT部会(午前の部)、心理・言語部会(午後の部)が開催!

なんと!9月4日(日)に、記念すべき第一回PT・OT部会(午前の部)、心理・言語部会(午後の部)が開催されました!! Jatts、本格的に出動です!!
今回は、特別講演と致しまして、社会医学技術学院作業療法学科長で作業療法士の石井孝弘先生にご講演頂きました。現在、石井先生は小金井の桜町病院で発達障害のお子さんに関わられ、保育園巡回、通級学級のお子さんへのアセスメントをいっていらっしゃる他、乗馬セラピー等の活動も行っていらっしゃいます。乗馬セラピーの際、お子さんの感覚についてのアセスメントだけでなく、馬側の体格や性格等のアセスメントを作成され、科学的に乗馬セラピーの効果を研究されていらっしゃいます。その詳細なアセスメント表が素晴らしいく、セラピーはその取り組みの効果を確認する為に、きちんとアセスメントし記録を積み重ねる事の重要性を改めて認識しました。
また、PT・OT部会ではのぞみ牧場学園での「ぐるぐるこしょこしょぎゅぎゅぎゅ(略して『ぐるこしょ』)」の取り組みを、心理・言語部会では、のぞみ療育グループのスタッフより「特別支援学校における外部専門家の取り組み」についての発表がありました。『ぐるこしょ』の取り組みについては、PT・OT部会のブログを覘いてみて下さい!「特別支援学校における外部専門家の取り組み」の発表では、臨床心理士、言語聴覚士、そして音楽療法士がお話致しました。特別支援学校において、PT・OT、心理士・ST、そして音楽療法士といった複数の専門家が、多職種連携を軸に臨床を行っている実践の報告でした。
さて、今回ももちろんYG(ワイワイがやがや)会も開かれました。今回は、2グループに分かれて行いました。私が参加したグループでは、午前の部のPT・OT部会の流れで肢体不自由のお子さんにも『ぐるこしょ』を行うことで身体図(ボディーイメージ)や空間に対する体の軸を獲得することが大切!との話題で盛り上がりました。漢字のはらいを書けないお子さんに、書字の練習をたくさんするより、感覚統合を行い体の軸を獲得することで斜め線が書けるようになり、漢字が書けるようになることもあるそうです。書字や視覚的な認知等、認知的な発達の為には、感覚や運動の発達が大切・・・お子さんの発達にとって多職種で関わる大切さを感じるYG会でした。

設立大会YG会のご報告

 心理・言語部会は、スーパーバイザーに野村東助先生をお迎えし、障害児の療育施設・成人の通所施設・保育園の職員、元行政で福祉関係のお仕事をしていて現社会福祉法人事務長などなどの方々で、お話し合いをしました。スーパーバイザーが、自閉症研究において、すばらしい実績をお持ちの野村先生ということで、非常にありがたく、緊張しましたが、それぞれの取り組みや考えの交流の場となりました。

 初めに、実際にアニマルセラピーや音楽療法とコラボレーションして療育を行っている「のぞみサポートセンター市川」の深谷さん、「のぞみ牧場学園」の池田さんから「犬」や「音楽」のお子さんを惹きつける力のすごさ!!についてのお話があり、「うらやましい」、「わたしたちは、どうしたらあんなにモチベーションをあげられるのか・・・」とひとしきり話をしました。
 それに関連して、成人の通所施設の方から、「アニマルセラピー」など特別な活動がなくても、ふだんと違う場所での活動や人との触れ合いなど非日常的な体験が、日常とは違う反応や表情を惹きだすことがあるなどの体験談も語られました。
また、野塩保育園の白石さんや事務長の谷部さんから、そういった特別な機会での反応は、日々の体験の積み重ねにより、コップの水が徐々に満ちてあふれでるように、引き出されていくものでもあるのでは、とういうお話もありました。
 わたしたちは、対象児・者が、そういった機会を持てるような環境設定をすると共に、子どもたちは特に、惹きつけられ注目していることに関して学習していくため、その場面に気づいて声かけしたり、学習を促す働きかけをしたりしていく必要があるということを再認識しました。

 心理・言語部会
話し合いの中で、実際の療育現場の悩みとして、他職種で療育を行った場合のお子さんに対する認識や評価の基準の違いがあげられました。要求をかなえられず、泣いて伝える自閉症のお子さんの行動について、野村先生の方から、要求の適切な伝え方を教えることは大切だが、上手に伝えられていない時でも、伝えようとしている気持ちを理解する、また、対応する側がおろおろしたりすると子どもはより混乱したりするため、気持ちが切り変わるのには時間がかかることを考慮し、落ち着いてから、事前に示したルールや予定に添えるようにしていくとよい、とのお話をいただきました。


 
障害児・者の専門家として、他職種の方と連携をする場合、そのお子さんの特性や対応、目標など、障害の特性に合わせて伝えていく役割を心理・言語の専門家が担っていることを感じました。
 
 次回は、事例など含めて、更に活発な意見交換ができるといいと思います。

専門家の協働って・・

JaTTSではどのようなことを目指していきたいかを、心理・言語の立場から考えてみました。

「一人の子どもに心理や言語、OTやPTなど、複数の専門家がかかわっていくこと自体はそれほど珍しいことではありませんね。」

「はい。そこに、音楽療法士やアニマルセラピー、芸術療法などの専門家が加わるところに、JaTTSの独自性があります。」

「それぞれの専門性を活かしながら、総合的にアプローチすることを目指すんですよね。」

「簡単なようで難しいです。」

「共通のテーマが必要ですよね。たとえば、学習のメカニズムをそれぞれの専門的視点から探るとか?」

「たとえば、子どもたちがバッタとりをしている姿を見ると、バッタが子どもたちの動きを引き出し、注意を引き出している様子に感動します。」

「音楽活動でも、ラッパを吹こうと思って吹かせるのではなく、鳴らそうとして吹いたり吸ったりする。」

「音楽療法士が活動を提供し、心理や言語が目標やステップを考え、補佐的に動くとよいのではないでしょうか?」

「嚥下も歩行もすべて環境ですね。」

「飲みたい、食べたい、歩きたい、とい気持ちがまず第一です。」

「その動機づけを引き出すために、認知を高める必要もあるという点も重要ですね。」

「周りに気付けない状況では、新しい行動は築けませんね。」

「まずは興味のアセスメント、快感や感覚のアセスメントも必要ですね。」

「人によってまったく違いますから、系統的に組織的にアセスメントが必要ですね。」




「就学前の施設では、保育士が幼児教育のノウハウをしっかりと活かしてくれるので、心理士はいつもネタは保育士さんからもらっています。」

「学校現場では、教員の授業テーマの選択が大切ですね。」

などなど、いつまでも議論は続きます。

結論を出すことが必ずしも目的ではありません。

会員で感じていることを共有し合うことで、何かこれまでと違う発見があるといいな、と思っています。
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